ケッペンの気候区分をもう一度勉強しなおす。楽しい旅には地理の知識を。
ミスターケッペン
ケッペンの気候区分でおなじみのケッペン氏。
何人か知らなかったけれど、ロシアはサンクトペテルブルグ生まれのドイツ人なのね。
ウラジミール・ペーター・ケッペン。
いかにもロシア人っぽい名前。
さて、このケッペンの気候区分の旅人的実用性
ケッペンの気候区分の実用的性格としては、植生とくに高等植物と気候を結びつけた点である。高等植物は、移動性が低く、強い集団性をもっており、景観に与える影響がきわめて甚大である。
ええと、どんな服もっていけばいいとか、この地方はトロピカルだよね~とかそういうことがわかるはず。
区分について
大区分はA~Eまでの5段階に分かれて、
-------------赤道-------------------
- A 熱帯 (シンガポール)
- B 乾燥帯 (ウズベキスタン)
- C 温帯 (日本)
- D 亜寒帯 (ロシア)
- E 寒帯 (グリーンランド)
--------------北南極点---------------
(地名に関してはイメージです。正解かどうかは後程。)
という具合に、赤道に近いほど熱帯、極点に近いほど寒帯という具合で表現される。
この中でも、
- B 乾燥帯(ウズベキスタン)
- E 寒帯(グリーンランド)
は、樹木の育成ができないため「無樹林気候」という。
- A 熱帯 (シンガポール)
- C 温帯 (日本)
- D 亜寒帯 (ロシア)
は樹木が育つので、「樹林気候」といいます。
この中でも「無樹林気候」というのがちと難しい。
地名として、ウズベキスタンとか、グリーンランドを出したけれど
このどちらの国も木ぐらい生えています。
どうやって判別するのか?
B 乾燥帯であるための条件
1.最暖月の平均気温が10度以上であること!
これは、砂漠の夏が10度を下回ることは想像しにくいので、そこまで難しくない。
気温が50度とかいっちゃうので余裕でクリア。
ウズベキスタンの夏の砂漠越えは、本当に死ぬかと思った。
ここにある酷暑期に行きましたね。
2.乾燥限界を年平均降水量が下回っていれば、乾燥帯である。
そう、これですよ!意味が分からないよ。
手順としては
- 公式を理解。
- 年間の気候がわかる図表の用意
- 年間平均気温(t)を探す
- (x)を求めるために、また別の公式に当てはめて調べる。
(x)の値は、降水量が14(夏雨季)、7(年中平均的)、0(夏乾季)の3種類のうちいずれか。パッと見でわかると思う。 - で、やっとこさ判定式に代入して計算。rを求める。
- rの数値と年平均降水量と比較
- 結果は?
- もっと手早い方法で。
Step1
まずは乾燥限界を求める公式
判定式
w(冬季乾燥/夏雨) | 最多雨月が夏にあり、10×最少雨月降水量<最多雨月降水量 | |
s(夏季乾燥/冬雨) | 最多雨月が冬にあり、3×最少雨月降水量<最多雨月降水量かつ最少雨月降水量が30mm未満 | |
f(年中湿潤/年平均降雨) | wでもsでもない |
Wikipediaより
ちょっとね、この時点でモチベーションが下がった。
まず、年間平均気温(t)だけども、、、
砂漠の観光地で有名なサマルカンドはどうでしょう?
Step2
こんな感じです。
Step3
この表から、年平均気温の14.3度=(t)を抜き出します。
Step4
で、次は(x)ですね。
まずは最も雨が降った月と、降らなかった月を抜き出す必要があります。
降った月は3月で71mm(MAX)、降らなかった月は8月で0mm(MIN)
えー、0mmって何でしょう。
この時期に行ったら死んでしまいますね。雨男カモン!って感じです。
次にまた別の公式に当てはめ検証していきます。
公式
MINx3or10<MAX
3の場合はMINが30以下でないとだめ。
これが手間だなと思うところですが、、、
前提として、夏が乾季なのか雨季なのかっていうのをわかっておく必要があります。
今回は夏が乾季ですので、
0mm(降らなかった月の降水量)x3倍=0mm<71mm(降った月の降水量)
かつ降らなかった月は30mm未満
の式を当てはめ、成立することを確認します。
この場合はS気候(夏季乾季)となり、x=0となります。。
仮に夏に雨季ある地域だった場合
3倍のところが10倍に変わり、成立するか確認します。
成立した場合、x=14となります。
そのどちらも当てはまらず、年間平均して雨が降るような地域であると、x=7となります。
ああめんどくさい。やっと最初の公式が計算できますね。
Step5
判定式
にt=14.3 x=0を代入して
r=20(14.3+0)
こちらを計算すると、r=286という結果になります。
パンパカパーン!
サマルカンドにおける、乾燥限界は286mmということでした。
Step6
乾燥限界>年平均降水量が成立すると乾燥帯である。
ということなので年平均降水量を求めます。
年間降水量は355mm、こちらを12で割って平均を求めます。
29.583333となるので、おおむね30だとして、比較します。
乾燥限界286mm>年間平均降水量30mm
Step7
パンパカパーン!
サマルカンドはB 乾燥帯ということがわかりました!
くそー手間すぎる。
Wikipediaをもう一度確認していたら
年間降水量が500㎜未満ならBである
と書いてあった。年間降水量355mm。ハイ、B乾燥帯です!
こっちのほうが早え!
くそー小難しい罠にはまって、1時間も無駄にしてしまった。
学校だったら確実にアウトである。
E 寒帯であるための条件
最暖月平均気温が10℃未満(樹木が育たない)なら寒帯となる。降水量は考慮しない。
およ?これはグリーンランドでもなかなか厳しいのでは、、、?
夏の気温が平均10度未満というのは難しいでしょう。
↑調べてみた。どうやら最暖月は7月で、平均気温は10.6度、、惜しい!
しかし、しかしですよ。
Wikipediaにはこう書いてある。
ツンドラ気候で、夏でも最高気温が10℃ぐらいだが、一般的なツンドラ気候と比べると冬の最高気温が-5℃とあまり寒くない。
なはは、たとえ平均気温は10.6度であっても寒帯に認定ですよ!
(ツンドラ気候は寒帯のひとつ)
続いて樹林気候についてもやっていきます。
A熱帯 C温帯 D亜寒帯の区分
- A(熱帯) - 最寒月が18℃以上(ヤシが生育できる)
- C(温帯) - 最寒月が-3℃以上18℃未満かつ最暖月が10℃以上(冬季の積雪は根雪にならないが、ヤシが生育するほどでもない)
- D(亜寒帯) - 最寒月が-3℃未満かつ最暖月が10℃以上(冬季の積雪は根雪になるが、樹木は生育できる)
という区分で分けるらしい。非常に明瞭。
まずはA 熱帯 シンガポールから見ていきたい。
年間の平均最低気温が24.1なので、ばっちり満たしてしている。
雨に関しても7月が一番少ないけれど、毎月150mmオーバーである。
湿度も常に80%代をマーク。
平均日照時間というのが面白い。最も日の光が浴びられるのは11-12月で、3月と7月は曇っていることが多いということらしい。
晴れると実にさわやかな国なだけに、曇っていると残念です。
続いてC 温帯 日本
と行きたかったのだけど、気候図が出てこなかったので、お隣韓国のプサンを代わりに用意しました。
最寒月が-3℃以上18℃未満かつ最暖月が10℃以上(冬季の積雪は根雪にならないが、ヤシが生育するほどでもない)という条件を満たしています。
ヤシの木もありませんしね。
最後はD 亜寒帯 ロシア
最寒月が-3℃未満かつ最暖月が10℃以上(冬季の積雪は根雪になるが、樹木は生育できる)という条件を見たいしていますね。
まとめ
ざっくりまとめると
- A (熱帯)最も寒い月でも18度はある ヤシの木がある
- B (乾燥帯)年間で500mm以下の降水量である
- C (温帯)最も寒い月は-3度から18度の間、最も熱い月は10度より高い
- D (亜寒帯)最も寒い月は-3度から18度の間、最も熱い月は10度より高い
- F (寒帯)最も暖かい月でも10度に至らない
ということになります。
それを踏まえたうえで、一度塗り分けした地図を見てみます。
ちょっと色の選択が微妙で醜いような気もしますが、どれどれ
日本は温帯か亜寒帯ですね。韓国はほとんど亜寒帯。
東南アジアは全域で熱帯。中央アジアはほぼ全域乾燥帯です。
今回は、ケッペンの気候区分の大区分について復習してみました。
次回(いつになるかは未定)ですが、もっと細かい区分もやっていきたいと思います。