ANA 1687便 伊丹ITM–大分OIT DH8 搭乗記 悪天候で福岡へダイバード パイロットの判断を考察してみた。
伊丹空港へ到着!
今回は九州ふっこう割を使って、大分へ用事+娯楽をしに行く予定でしたが、タイトル通り大分空港が悪天候で、福岡へダイバートされました。
ANAのダイバート対応なども含めて、書いていきたいと思います。
まずは、2階にあるプレミアムチェックインカウンターでサクッとチェックイン。
場所がちょっとわかりにくいですが、2階に上がればすぐわかります。保安検査場も別レーンでした。
この時点では条件付与なし。
アメックス ミールクーポン
伊丹空港ではアメリカエクスプレスの特典としてミールクーポンをいただけます。
ターミナルの中央フロア2階、アメリカエクスプレス店舗にてカードを提示すると引換券を頂くことができます。
メニューはこういった感じで、限定メニュー対応です。
概ね1,000円前後の価値があります。
アンデルセンにしました。
朝ごはんにちょうど良い量でした。
交通アクセスがバスと(高いわけではない)以外は問題ありません。
え、モノレール?あんなの使いませんよ。
こちらのミールクーポン、日帰りでも1日1回のみの利用ですが、到着という場合でも利用可能です。
ポテチは厚揚げポテトでした。この後運転することもないので、ラウンジでビール飲みながらポリポリしてました。
大分空港悪天候のため条件付与
ビールで1杯やっていたら、悪天候で条件付きになっているフライトの呼び出しがありました。
雨男なので、ヒットするかな〜と思ったら案の定。
NH1687便は、オルタネートに第1福岡、第2伊丹でフライトプラン作成、着陸はかなり厳しいかもという事でした。
iPhone用のアプリで「AeroWeather」というものがあり、そちらで情報を取り寄せます。
すると、視界が900mになってます。
これは難しいかなと思いながら、知り合いのパイロットに聞いてみると、1500mないと難しいという事でした。
運行側の見積もり計画としては、今後気温上昇とともに、霧が晴れてくる事を期待して出発をちょっと遅らせるという事でした。
情報収集
ちょっと時間ができたので、いろいろ情報を集めてみたら
こういった感じで到着便がある様です。(画像は別日)
到着時間をみると自分の乗る便の直前に到着する便は20分前に到着するJL663便です。
また出発時刻(10:40頃)までで集められるのは最新の情報は、定刻9:45着の伊丹発のJL2361便からの報告です。
これらを加味した上で、機体特性を考えて最終のフライトプランを練ります。
大分に飛んでいる便でその日は初めてのプロペラ機です。
また機体(JA/462A)は秋田(NH1652)から到着(9:36)しています。
ANA Wingsの乗務員シフトはわかりませんが、大阪で交代してるんじゃないかと思いますので、当日の運行要員は2時間前出社として9:40頃から情報収集をして、計画したのではないかと思われます。
積み込み燃料について考察してみます。
時間をみると大阪で補給する時間はあるので、オルタネートに向かう分を含めてどれほど入れたのか?
機材情報によると約2,000km飛べると書いてあります。
そして伊丹空港と大分空港の間を飛ぶ航路は、およそ409km(221nm)です。
概ねこの様な経路です。
もちろんこれはあくまでもアプリで出てくるレベルのルートで、実際の飛行プランは全く違います。ちなみにこれ、オフラインで使えます。
あくまでもこれぐらいかなという、計算上の話です。
通常の運用ではNH1687便は折り返し、NH1688便として伊丹に戻り、NH1641-42便で伊丹–松山の往復をします。
オルタネートに福岡、大阪を設定しても、もともと十分な燃料は積んでいると思います。
搭乗開始
実は初めてボンバルディアの飛行機に乗ります。
晴れてるのでいいものの雨だったらきついですね。
機材が近いのは面白いです。
今日の機材はJA/462Aです。
座席はこんな感じです。
購入して3年程度の機材です。
乗り込んだら、関西弁で挨拶があり、ANA Wingsらしさを感じます。
シートは1Aを頂きました。
いわゆるお見合い席です。
チーフパーサーの動きを軽く見ていましたが、ANA本体では見られない、軽やかさがありました。
表現するのが難しいのですが、キャセイの様な感じでした。
信じていただけないかも知れませんが、面白かったです。
離陸
エンジンスタートは10:45頃
若干、順番待ちなどありで10:56離陸です。
大阪市内を旋回し
阪神工業地帯上空を飛びます
遠くには神戸空港も
明石海峡大橋
瀬戸大橋これぐらいから徐々に雲が厚くなってきます。
山口県上空。ほとんど地上が見えません。
この辺から徐々に高度を下げ始めます。
雲を抜けると、別府近郊の街が見えます。
視界はそんなに悪くありません。
これなら着陸するなあと思っていました。
が、再び雲の中に入った様に窓の外が真っ暗に。
程なくしてギアダウンの音が聞こえてきました。
窓の外は何にも見えない状態で、高度を落としていきますが、いきなりエンジンが高いうねりをあげて上昇していきます。
そして地上がぼんやりと見えてきました。
あ、これは視界4-500ぐらいかなと。
貰った情報によると4-600mで推移
こちらのアプリは、フライトレーダー24です。無料版もあれば、有料版もあります。
JL663もグルグル回ってます。
さすが真央ちゃんをCMキャラクターに使う会社です。10アクセル→8アクセルぐらいしてました。
後で調べたら、1回アプローチしたのち、30分ほど旋回して待ち、その後NH1687の前に1回着陸を試みて、ゴーアラウンドしました。
一方NH1687便は2回(12:06、12:14)ゴーアラウンドをしたのち、
後続のNH793便からの情報を貰って、12:18に福岡へのダイバードを決定しました。
→こちらは前便のJL663からもらったのではないでしょうか?
NH793は、この後ぐるぐる旋回に入ったようです。
熊本方面へ進路をとり
一回海まで出ます。
おそらくこういう感じ。
壱岐島に往復している分は抜いてください。
福岡市内
新幹線の高架線路が見えています。
12:50着陸しました。
地上係員から説明を受けたのち13:00に降機。
ダイバードでの対応
まずNH1687便は福岡空港での打ち切りが発表されました。
大分には地上交通での移動を説明。
ただ現時刻が13:00で13:19のソニックに乗る様案内されても、客はパニックになるだけだと思います。
どこの会社も競合他社の説明をするのはあまり上手ではありませんね。
ひとまず、大分までの振替票を貰います。
これは福岡市営地下鉄の空港→博多と
JRの博多→大分まで、特急券+乗車券に引き換えられるクーポンです。
福岡市営地下鉄では押印されませんでした。
次にJRです。
出札で事情を聞いたところ、どこに行くのでも出しますよ!ということだったので少々驚きです。
個人的な想像では、額面なし(指ノミ券)を発券して、振替票で乗るのかなと思ったら、現金券です。
もう少し噛み砕いて聞くと、こちらの振替券は6000円相当までのクレジットとして使える様です。
なので、もしそこから足が出たら立て替えてくださいねと言うものでした。
福岡空港での振替票を受け取りする際に、他の人の事情を聞いていましたが、人によっては市内でなく空港に用事(レンタカーなど)があるという人や、目的地が大分市内でないという方もいらっしゃいましたが、負担分は後日精算するということでした。
当日の着陸情報(結果として)
- 6J89 HND 8:26着 +0:09
- FW89 ITM 9:10着 +0:05
- FW65 NGO 9:16着 +0:06
- JL661 HND 9:39着 +0:09
- NH791 HND 10:43着 +0:58
- JL2361 ITM 10:30着 +0:45
- JL663 HND 13:27着 羽田へダイバード +2:07
- NH1687 ITM 12:54着 福岡へダイバード +1:14
- NH793 HND 12:46着 +0:36
- 6J91 HND 12:40着 +0:05
こういう感じでした。
ダイバードしたのは、JL663とNH1687だけ。
JL663はFR24で見てもかなり粘った様に見えます。
9:43に羽田出発して、12:14に羽田へ引き返しを決定しました。
まっすぐ飛んでこれば1:30ほどの飛行時間なので、11:15分頃には大分空港上空にいたものと思われます。
そこから決定までの1時間、グルグル回ってますゴーアラウンドした事を考えると、乗客はかなり地獄だったのではないでしょうか。
これだけの時間ホールドすることはジェット機なのでなせる技ですね。
一方後ろを飛んでいたNH793は定刻+36分で降りてきています。
12:14に1回目のゴーアラウンドを実施して、→この位置から上空で待機を始めたようです。
着陸したのが12:46分なので32分間ホールドしていました。
その後6J91はわずか5分遅れで、かつNH793より早く降りてきています。
こればかりはタイミングですね。
12:40頃に霧は解消されたのでしょう。
考察
JL663のB737-800型機(73H)は航続距離5,200km、ジェット機であればこれだけの時間を粘ることが出来ます。直線距離にすれば東京ーバンコクぐらいはいける(運行されることは無いが)ので、1時間粘ったあと東京に帰るぐらいわけ無いです(燃料を予め積んでいれば)。
しかしなぜ福岡に行かなかったのか(羽田に戻った)は疑問です。
旅客利便を考えれば福岡から、振替輸送したほうがいいんじゃ無いか?と思ってしまいます。
スポットか、機材運用か理由はわかりませんが、パット見採算の取れない選択肢である羽田に帰ったのが、結構気になります。
一方、DH8は2,000kmなので出発空港に引き返す場合を想定してフライトプランを建てる場合、せいぜい片道800kmぐらいのところまでしか行けません。
上空でも全く粘れません。
ジェット機とプロペラ機では着陸方法が異なるので、ジェット機では降りられるけど、プロペラ機では無理(または逆も)という状況もありますが、航続距離が短いのはこのケースにおいて不利です。
このDH8は高知空港で前輪が出ず胴体着陸したことがあります。
早朝大阪から高知へ飛んできて、着陸前の8:49に前輪が出ないということがわかり、何度かタッチアンドゴーを繰り返しました。
最終的に、残燃料から大規模な火事が起こらない最善策(逆にいえば燃料が底を尽きる)を取り、2時間5分後の10:54に前輪が出ないまま胴体着陸を実施しました。
これを参考にすると、大阪→高知と飛行したあとでも、およそ2時間程度はホールドする事が出来るようです。
もちろん燃料を全て使い切っての話ですが。
今回のケースに当てはめると、大分ダイバードにトライできる時間は、現在燃料から福岡と大阪のどちらへ向かい、かつその航路上でトラブルがあった場合に対処する時間引いた分です。
大阪ー大分の飛行におよそ1時間15分前後かかっています。
大阪に帰るのにも1時間程度かかるとして、おおよそ2-30分程度しか粘れません。
2回のゴーアラウンドに要した時間は15分程度です。あと15分粘って生存率を大きく低下させるより、諦めて福岡に向かう選択をしたのは、理にかなっています。
今回のダイバードで勉強する事が出来たのは、引き際です。
悪条件の中で、選択肢が選ぶ事ができ、その中でベストなものを選ぶことは難しいことです。
そしてどのベストにもペナルティが発生します。
乗客の中には礼服の方もいらっしゃったので、もしかしたら冠婚葬祭があるのかもしれません。
小さなプロペラ機ですから乗ってくるときにどんな客が乗ってくるか見えるわけです。
今着くことが重要と考えるとお客さんに、15分粘って諦めますというのは、あまりに軽いという印象を受けますが、あと15分粘って(12:35)も結果として12:40まで霧が晴れることはなかったわけです。
JL663の対応も決して批判している訳でなく、どういった考えや理由でで引き返すことにしたのか興味があります。
15分たった時点で、あと15分経っても状況が変わらないことを見抜き、そして乗客の目的を達成させることのできる福岡へのダイバードを選択した。果たして同じような状況で自分が同じように思考できたか?
たまたま偶然ですが、直前にこれと全く対照的な行動を目撃したので、よりインパクトがあった様に思えます。
伊丹空港に行く際に、JRで高槻→伊丹の移動をしていました。
新快速電車(3xxxM)の先頭車のかぶりつき位置に乗っていたのですが、吹田で抑止を受けます。一個前の閉塞には数分前に出たサンダーバードがいました。
原因は新大阪ー大阪での人立ち入りです。
おそらく防護無線が発砲されたのか、大阪環状線も抑止がされた様です。
7分ほどして、京都方面は運転再開。
10分後には内線が運転再開。無残にも普通列車に抜かれます。
しかし外線は抑止がかかったまま。
多くの乗客は状況を飲み込み静かにしていましたが、怒った乗客の一人が運転席の扉を激しく叩き始めました。
運転士は輸送指令と通信中で、決して無視していた訳では無いのですが、そういう風に受け取ったこの乗客は、さらに激しく叩き運転士に説明を求めます。
通信を終えた運転士は、驚くことにドアを開けてこの乗客に説明を始めました。
当然この乗客は説明を受けたいのではなく、単に乗務員を罵倒することが主目的です。
案の定、ドアを閉めさせない様に、一歩足を入れて愚痴り始めました。
この乗客が愚痴り始めてすぐ、信号は開通しました。
しかし「いつになったら出るんだ!遅れたことをどうしてくれるんだ!普通列車に抜かれた!」と続けます。
この乗客を対応した事で、わずか数分とはいえ遅延は拡大しました。
JR西日本には乗客の無理難題な要求を無視できるほど、立場に余裕が無いのかもしれませんが、運行に支障をきたす恐れのある乗客に毅然とした態度を取ることができないことは、非常に残念でした。
企業としてそうなのか(そんな気がします)、運輸区としてそう指導しているのかわかりませんが、12両編成で1,000人前後は乗っている列車の運転席が、稚拙な恫喝と要求によって開けざるえないのは、方針変更が必要と思えます。
この考察はあくまでも乗客一個人の考えで、その選択や対応を否定するものでは無いです。
パイロットや運転士(運行要員)の判断が、たとえ乗客や会社のに利益にならない事でも、判断しその結果を尊重する事が出来るのは素晴らしいです。
一方、お客様第一主義で、運行要員すらそれを第一に考えないといけないのは、本末転倒です。
その線引きはとても難しく、一方に傾きすぎると安全が損なわれるか、個人プレーになってしまいます。
そういった事が出る様になるのは容易な事ではありません。
人生には課題が多いと思いました。
最後に
今回もトラブルが多発した旅行となりました。
雨男で実に引きが悪いのですが、今回は人生最大級です。
トラブル時の対応は、残念ながら経験が多く、うまい切り抜け方を熟知しているつもりです。
よくANA、JAL上級会員の一部が傲慢であることからいろいろ揶揄されていますが、比較的穏やかに交渉したほうが、良い条件が出てくる事が多いです。
結果的にどうなったかの報告はここでは避けますが、割合手厚い保障が受けられました。
一方、結構な確率で出来ない係員がいる事は事実で、イライラする気持ちは理解しますが、運輸業において全ての知識を覚えていない事は致し方ありませんので、話が通じそうな方に「自分から」相談する事が重要だと思いました。